協力扶助の義務とは

心理カウンセラー 大屋ともこ

2023年01月25日 10:50

民法に夫婦の大原則が謳われています。

いろんなことが夫婦で起こるでしょうが、必ず夫婦で助け合い、戒め合い、励まし合い、二人で力を合わせて人生を歩みなさい!

簡単に言えばこういう意味を含んでおり、婚姻届に印鑑を2人とも押したら、この義務を果たすことを承知したことになっています。

扶養の義務・・これは力のある方が弱い方を支えていくこと!
ということで、親が未成年の子を、子が老いた親を養っていくという、力に差がある関係です。

扶助の義務・・これは対等な夫婦が協力してお互いを補うこと!
例えば、専業主婦の妻が家事全般を受け持つことで、夫は仕事に専念でき、その代わり金銭的なことでは夫が妻を扶養して行かなくてはなりません。

その間、夫婦げんかもあるでしょうし、妻や夫に困ったこともあるでしょう。
 
そんな夫婦の諸々の出来事も夫婦で協力し、切磋琢磨して解決してくださいということです。

離婚となった場合、理由はあるでしょうが、この夫婦は協力扶助の義務が果たせなかった夫婦で、最初は、夫婦のどちらもが裁判所から見たら×なのです。

離婚の申立のスタート時点では夫婦の過失割合5050から始まります。

「夫が会社の部下の女性と浮気をしていたから離婚です!」
    夫の不貞行為が加味されて過失割合が8020になりました!

「勝気な妻が毎日私を罵倒しずっと夫婦関係も拒否されてました!」
   妻の過失と夫婦関係が既に破綻していたことで6040に修正されました!

馬頭されたことを立証するためにも、ボイス・レコーダーやスマホで必ず録音を録っておいて下さい。

上記は極端な例ですが、このように協力扶助の義務がベースにありますので、離婚に関します過失割合は交通事故のように100などはありえません。

過失相殺的な要素が加味されますので、過失に応じた慰謝料は思ったより少ない
100万円から300万円程度の金額が多くなるわけですね。
慰謝料は基本お金持ちや貧乏に関係なく、一定です。

離婚調停の時に、妻が怒りにまかせて、浮気をした夫のそれ以前の日常の行動についても罵倒し、誹謗中傷される方が結構多いのですが、その場合に裁判所は“この夫婦は、夫の不貞行為以前から既に破綻していた”とみなされてしまい、先ほどの例のように夫の過失部分の軽減の要因となってします。

幸せで円満な夫婦生活だったのに突如、夫のこの不貞行為により、幸せが一瞬にして崩壊してしまい、その後の夫に反省の様子もなく、もはや婚姻は継続しがたいということにした方がいいですね。

協力扶助の義務に則って最後の最後まで夫婦関係の修復に努力したという実績作りは必要なのです。

かっとなって離婚を叫んで、高額な慰謝料の要求をその場で口にしてはいけませんよ。
浮気をしてしまったご主人の側は、この逆の考えをしていけばよいことはお分かりですよね。

夫側は体裁の悪さからや、やり直したいが故に
兵糧攻めにしたりなどの感情に任せた行動をとってしまうとやぶ蛇になってしまうこともありますから注意してくださいね。

“弱いものいじめをする夫” と裁判所から思われ、その後にどのような大義名分をつけても不利になることは否めませんよ。

妻側も浮気ギャンブルをした夫に強制的に抑圧的な念書に記名、押印の上で、屈辱的な内容の謝罪文を書かせて、それを裁判所に誇らしげに提出される方がおられますが、これもまたやぶ蛇になってしまいます。

「無条件で離婚に応じ、全財産は妻のもの」とか「罰金○○○万円」「養育費は請求しない代わりに子供との面会は一生しない」などの法的に無効な約束事を強制させる内容が多いので、裁判所は従前より妻は夫に対して高圧的で、かつ抑圧的だったと推定をしてしまい “支配的で夫を慈しまない妻” であったとみなされる恐れがあります。

養育費も面接交渉権も子が持っています特有の権利ですので “いらない” “会わない” など母親が勝手に決めても無効ですし、夫から面接交渉の調停が起されたらそれまでです。

これでは相手方の法定の離婚原因の過失に対して妻はその以前から協力扶助の義務を果たさずに恒常的に隷属させていたとして過失相殺されるかもしれませんよ。

どうしても妻や夫の浮気暴力借金ギャンブルモラハラDV・・・・・・などが発端の絵に描いたような離婚原因を受けた側は自身の過失や、夫や妻として足りなかったことなどを省みる余裕などはないのは当然です。

しかし、相手方は 「私が浮気したのは夫の私への優しさがなかったから・・」 とか

「私が暴力を振るったのは妻が私の仕事への理解がなかったから・・」 など

立場は有責配偶者とは云え必ず大義名分を持っているはずです。

離婚調停では、申し立てた側は相手方に法的な有責性があれば、裁判所が一方的に夫や妻を懲らしめてくれて、財産分与や慰謝料をガッポリ取ってくれると思われている方が意外と多いですね。

前述しましたが裁判所は客観的な判断を下しますので双方の言い分に平等に耳を傾けます。
離婚調停でも、離婚協議でも、同じように客観的に夫婦を見つめて対応していくべきです。

夫婦になった以上、ただ「相手が悪かった!!」だけではいけません。
そのような配偶者を選んだのは “あなた” なのです。

厳しい言い方をすれば「相手方に騙された!」と言っても、脅迫されて無理やり結婚した訳ではないので、法律の定義では「騙された方も少しは悪い」と定義されてますので、あなたにもそのような相手を選んだ責任もしくは過失があると少しは考えます。

法律を司る裁判所のスタンスがそのようであることを考えて、調停もしくは裁判など裁判所を舞台にした場合は“ 謙虚な ”姿勢や態度で臨むべきです。




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