別れてくれない夫や妻

心理カウンセラー 大屋ともこ

2023年01月18日 16:55

離婚の方法としてまず最初は離婚協議を夫婦で合意が出来るかどうかです。

離婚の合意が成立すれば裁判所の関与を要せずに届出のみで離婚できます。

夫婦が合意だけの協議離婚の場合、離婚届に理由を書く欄はありません

つまり、双方に離婚の合意があれば離婚理由は何でもかまわなず聞かれることもないということですね。

相手方が勝手に離婚届を出しそうならば離婚届の不受理届をどこの役所でも構いませんから提出しておくことをお勧めします。
もしも相手が今からでも出しそうな勢いならば、相手より先に出来ましたら本籍地(夫の)に出しておいてください。

万が一勝手に離婚届を出されてしまった場合は「私は合意してませんから取り消して!」と役所に言っても、いったん受理された届けは有効になってしまいます。
離婚が無効であるという裁判を提起して判決をとらないと取り消せないという手間のかかる事態になってしまいます。

タイトルのケースでは相手方が話し合っても離婚を受け入れず、合意ができない状況ですから夫婦だけの話し合いで合意する協議離婚は難しい状況でしょうね。

離婚に合意しても「離婚なら子の親権は俺!」「慰謝料3,000万円!」などの、とても納得できないような無理難題を言う夫や妻は “離婚しない” と駄々をこねているのと同じです。

もしも相手が離婚に応じないのであれば次には、夫婦と利害関係のない民間人の第三者である調停委員を介した調停離婚に進むことをお勧めします。

よく 「第三者を入れて話し合いたい」 ということで、双方の両親を交えたり、親類や友人、兄弟などを入れて話し合う方がおられます。

結局はそれらの方は “中立の第三者” ではなく、夫か妻のどちらかの味方 “私設応援団” にすぎませんから、応援合戦がヒートアップして前よりも紛糾してしまうことが多いです。

当事者が調停委員を介して話し合い
合意を目指して解決を図る手続きが調停です。

原則として本人が出頭し非公開で行われます。
待合室も夫婦別室ですし、交互に調停室に呼ばれますので相手方と顔要諦中に顔を合わせることもありません。

この調停が両者の合意により成立すれば確定した判決と同一の法的拘束力が生じます。
調停調書が出来た後でやっぱり嫌だと思っても裁判判決と同じように覆すことはできません。

タイトルのケースでは、相手方が別れないと言っている以上、調停では合意できず不成立になる可能性も十分あるでしょう。
裁判所の職員ではない民間人である調停委員には命令する職権はありませんから、夫や妻に調停の場でも一方的に拒否されたらそれまでです。

ただし、調停で離婚の合意が成立しない場合でも、家庭裁判所が相当と認めるときには裁判官の職権で離婚やその条件を命ずる審判をすることができます。
これが審判離婚です。2週間以内にこの審判に当事者から異議の申立がなければ、離婚に確定判決と同様の拘束力が生じます。

しかし、2週間以内に異議の申立があれば、審判の効力は失われ離婚は認められないこととなります。
“異議申立て”を行いますと「調停は何もなかった」ことになりますので希望しない審判が出た場合は遠慮なく異議申立てすべきです。


今回のケースで、もしも離婚を命じます審判が出されましても、相手方が裁判所の審判に異議の申立を2週間以内にすれば、離婚は認められません。
異議申立ての理由は特に必要なく 「いやだ!」 「認めない!」 と回答すれば審判は無効となります。

私の離婚調停では審判で子供たちの親権は私として離婚の審判が出ましたが、
妻側が異議申し立てを唱えて、審判は無効となってしまいました。

そして最後は裁判離婚が考えられます。
この裁判離婚とは、離婚を認める判決を求めて家庭裁判所の判決により離婚する方法です。
離婚が認められるには、民法770条の以下のいずれかの離婚原因が相手方配偶者にあることを、証拠を提出して証明しなければなりません。

1 配偶者に不倫行為(不貞行為)があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


は見ての通り不倫があった場合ですね。
裁判では確実な肉体関係の継続を客観的な証拠で提出する必要があります。

は働かない夫、生活費を入れない夫や、同居しない夫などはこれに該当します。

行方不明の場合です。失踪宣告を得る場合は7年を要しますが相続のことなどを考えて判断すべきです。

につきましては、今は余程の病状である場合と考慮すべき事情がなければ裁判所ではこれを認めない方向にあります。

につきましては暴力、借金、ギャンブル、セックス拒否、異常性癖、アルコール依存・・・・などの第三者からみて明らかに絵に描いたようなひどい離婚原因がある場合が該当します。

性格不一致や価値観の相違、ちょっとした夫婦喧嘩程度ではこれには該当しませんよ。
裁判で争う場合は客観的な証拠(写真・録画や録音)を提出する必要があります。

さらに、婚姻関係の破綻について、明らかな不貞行為や暴力などの責任がある者(有責配偶者)から離婚を請求する場合には、上記離婚原因に加えて、

1 相当の長期間の別居
2 未成熟な子(未成年)の不存在
3 相手方配偶者が過酷な状態に置かれる等の著しく社会正義に反する特段の事由がないこと


という要件まで必要となります。


約4~6年程度は必要だと思いますが、状況やその後の判例によって年々変わっていますので一概に何年なら大丈夫という判断はできません。

しかし、民法の改正案で、離婚理由の如何は問わず夫婦の破綻後5年以上の別居という理由で裁判上の離婚を認めるという案が出ていますので、破綻後の別居(一方が離婚を請求後の別居)が5年以上が今後の指針となっていきます。

は既に未成年の子がいないということに加えて、その子が成人するまで養育の義務を果たしたことも加味されるようです。

も別居中の配偶者に対して、今日まで十分な生活費を支払い続けてきた実績があるということです。
兵糧攻めなどを過去におこなって給与などへの強制執行を受けたことがあれば、これを充足できない可能性もあります。
妻や子への生活費(婚姻費用)を支払わず強制執行などを受けたりしていたら修復など常識的に100%不可能ですし、必ず離婚になります。

今回のタイトルにおいて離婚を求める側の不貞暴力などにより婚姻関係が破綻したのであれば離婚を求める側が有責配偶者となります。
したがって離婚原因に加えて、上記3つの要件をも充足しないと離婚は簡単には認められないでしょう。

しかし今現在の裁判所の考えは有責性の有無で離婚を決めるのではなく破綻主義が考えの主流となりつつあります

1 夫婦間の愛情の喪失
2 既に夫婦は破綻している事実
3 修復の見込みがない 


などの現状を重視して離婚の判断を下す傾向にあります。

離婚をしたくない夫や妻の行動から考えてみましょう。

離婚をしたくない側が 夫や妻の過失を責めたり、罵倒したりしながらも
「法的に離婚に応じる義務はない!やり直せ!」などと主張しても、やり直したいという方がこれでは、に該当してしまい、とても愛情のある配偶者ではないとみなされ、そして相手の過失を主張すればするほど、「離婚撤回」や「やり直し」の理由からはかけ離れてしまいにありますように、既に夫婦は破綻していて、修復の見込みもないとみなされ、その上、数年に亘る別居状態でしたら、ますますすべてに該当してしまいます。


離婚をしたくない側が相手の過失を声高に言い続けていては家事審判官や調停委員に

「そんなにご主人(奥さん)に過失や義務違反があるのでしたら、やり直しではなく、あなたが離婚請求すべきじゃないですか?」と言われるだけですよ。


極端な言い方をしますと離婚したくないという主張を貫くのなら、相手の過失は言わず「私が生まれ変わります!私が悪かった!もう一度チャンスを下さい!」と言い続ける位の姿勢と根性でないといけないと思いますよ(笑)

婚姻費用(生活費)については離婚したい夫が決めた生活費を別居した妻に少なく支払い続けて、裁判で離婚請求が認められなかった判例もあるくらいシビアな面もあります。

逆に離婚したくないという夫が生活費を支払わなかったり、少なく支払ったりしましたら、裁判では離婚判決が出る可能性が大になってしまいますので、やり直したいのなら少し多めに支払い続ける位の誠意がいるのかもしれません。
決めた(決められた)生活費は、どちらの場合でもきちんと支払わないといけません!

夫婦の継続は法的な権利・義務などだけではなく、双方の思いやりや愛情に基づく夫婦の幸せが今後も見出せるかと言うことです。

不当解雇を裁判で撤回させて職場復帰を勝ち取るようなものとは根本的に違うものです。


家事は刑事や民事のように判例や法律に準じて、明白に白黒つけるものではありません。
家事審判官や家裁調査官、調停委員会の判断に大きな裁量をもたせていますので
裁判所に対しての心証はとても重要です。

自分の権利や相手方の義務ばかりを主張して、調停委員や家裁調査官、そして家事審判官と反目してしまったら、審判・裁判で有利な審決はまず望めないかと思います。

極論で一方的な判決の例えですが

「相手の義務違反だ!離婚の理由が無い!愛している!とあなたが離婚を拒否しても、別居も長いし、相手方は調停や裁判を申し出るほどあなたを嫌いになって離婚したいのだから、もうやり直しはムリでしょう。

しかし相手の違反や過失が不法なものであるならば、離婚に併せて慰謝料も裁判所が責任を持って決めますし、同時に財産分与や養育費も裁判所が責任を持って公正に決めますので離婚を命令します!」


ということが有責・無責や権利・義務だけを判断材料にしない破綻主義の離婚判決の考え方ですね。

違法だ!不当だ!権利だ!義務だ!など言い続けるのではなく “諦める” または “諦めさせる” というタイミングをどう計っていくかということだと思います。

自分や相手方の有責性(不貞や暴力・モラハラ)や未成熟な子の存在(成人した子や実子ではない場合は不存在と同等)などで離婚が認められる可能性がある別居期間は異なりますし、その他にも個別の要因が加味されます。

無責の場合4~6年以上有責の場合7~9年以上の破綻後の別居期間があれば破綻主義に基づきました離婚判決が得られます可能性があると思います。

もう5年以上も別居を続けていた場合は「まだ愛情がある!」とか「離婚に応じる義務はない!」など別れたくない側は情けない見苦しいことを最後に言っていてはいけません。

離婚したくない夫が妻の職場や所属する組織に嫌がらせをするケースが散見されます。
その時は証拠を取っておいて静かにしておいて、いざ離婚という場面でそれを提出するようにしてくださいね。

とにかく意地だけでで離婚をしないという人間はサイコパスが多いので自分が悪いこと常識がないこと常軌を逸していることなど全く気が付きませんし、孤独なので誰も諭してはくれませんので、分からせようとしても無駄です
最終的には長期の別居(4~5年)をしまして、問答無用で裁判で離婚命令を受けた方が早道です。

私は皆様が悩まれております最初の段階からその時間をお客様と一緒に悩み、一緒に考え、そしてその思いを共有できましたらと考えております。

悲しみ、怒り、嘆き、諦め、希望・・・そして仕事、家族、子供・・・様々な思いが走馬灯のように去来するあなたの今の混沌とした長い時間と同じ思いを経験いたしました行政書士の私が、あなたの立場に立っての親身なご相談と、その後の離婚給付契約書の立案、そして公正証書での作成までエスコート出来ましたらと願っています。




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